だめだと分っていても、ついついのぞきたくなるのが観光地のお土産屋ストリートの骨董屋?です。
ろくなものが無いのはわかりきっているのですが、のぞかないではおれません。
そんな気持ちが引き起こした、トラブルについて書きます。
事なきを得てなんでもなかったのですが、これから、中国の観光地は外国人が減って中国人ばかりになり、少ない外国人がよりカモにされることが増えてくるかもしれません。
洛陽の白馬寺の前は、お土産屋に混じってあやしげな骨董屋や玉石の店がたくさんある。
そこには、骨董ではないけど、ごてごてした彫り物がされた何の石かわからない硯も置いてある。
もちろん、お土産もので、使い物にならない硯だ。80~100元くらいの値段が付けられている。
私は、ある店で、バスを待つ空き時間に、何の気なしに陳列されていた硯の彫刻ごってりの蓋を取って、中の硯がどんなものかみていた。
蓋を戻すとき、カタン、と小さな音がしたと思う。
普段なら両手で見て、そっと元に戻すけれども、「やっぱり……こんなもんだ」と思ったのがつい動作に出てしまった。
それからスッと店を出て、隣の店も冷やかそうと思ったその矢先、店番の女店員が血相を変えて出て来て、私の上着を引っ張って、いきなり大声で、「硯の蓋が欠けた!」といった。
瞬間、「やられた」と思った。
ぼーっとしてる女一人旅で、身なりも(中国にしては)悪くないし、もしかしたら、となりの店で地図を買った時に、財布の中身をのぞかれてたかも知れない。
女店員は、米粒くらいの石のうすい欠片をとって、「お前がたった今これを欠けさせた」と言いがかりをつけて来た。よく見ると、そこには女店員が指摘した場所以外にも、欠けている場所が2カ所もあったし、私がやったとされている場所だって、手ずれしている。こういう場所は、なんかの角にぶつかった時に欠けるので、蓋を置いたくらいであんな風には欠けない。
女店員が指につけてる欠片も、すこし大きくて怪しい。
私の方は、「やっていない」の一点張りで、特に何も言わず、ひとしきり怒鳴らせた後、「じゃ、警察に話を付けてもらう」と、私は携帯で110した。
今までに、何度も盗難届けや喧嘩の通報で警察のお世話になっているし、観光地だからすぐ来てくれる、と思った。
中国の警察の人は、こっちが悪いことをしていなければ、果断で紳士的に仕事をする。
万が一、警察がむこうの味方になったって、最悪、日本円で多くても2000円程度払えばいいのだし、どうしても腑に落ちなかったら領事館か大使館に電話すればいい。
ともかく、私の味方になる人は誰もいないのだから、警察に電話するしかない。
警察に電話すると、女店員は急にトーンダウンした。
まさか、本当にかけると思わなかったのだろう。
それでも、まだ私にぶつぶついっている。警察が店の場所が分からず、折り返し電話をかけて来てくれたけど、私も分らないので、その女店員にかわって場所をいってもらった。
そのついでに、まだ警察に私が悪いと主張していた。
店先をすこしはなれて隣の店先をみたりすると、ムキになって私の服を引っ張って、乱暴。
警察の人は、私服と制服の3人の男性の警官が来てくれた。
110番の受付は、きれいな普通話の女性だった。
警察の人は、まず、モノを確かめ、私に「落としたんじゃないんだろ」と聞いた。
私は「落としてない」といい、女店員も無言でそれを認めた。
「とりあえず、店の話からきこう」と警察の人はいった。
警察は隣の店から、見る目がありそうなおじいさんをつれて来て、欠片をあわせてみたりした。
警察の人が「欠片があわないぞ」といって、おじいさんに見せると、おじいさんは手元が危なくて、欠片を落として、踏んで、なくしてしまった。
警察の人が、他の2カ所の欠けている場所を見比べて、私を見ると、手を振って追い出すように、「もういい。早く行け、いいから早く行け」と言った。
女店員はとても不服そうに、大きな声で抗議しはじめた。でも、警察はそれにとりあわず、「もういい、いってください」といったので、私は厚くお礼をいって、その場を去った。
その後どうなるか、警察の人は私に見せたくなかったのだろう。
私はそれからすぐにバスに乗って、白馬寺をあとにした。
白馬寺の牡丹園は小さいけど、枝振りがきれいな牡丹が多くて、手入れがよくていい印象だったのになー。
ともかく、骨董やお土産物屋でモノに触る時は、慎重にしなくてはいけないし、音を立てないように、両手で扱うべきだ。いかなる時も、どんなモノにも、文化財の扱いをふまえた上で、敬意や注意を忘れてはならないと、強く思った。
すごく、いい教訓になった。