
「直撃美院」と書いてある
日本語では「特攻美大」くらいの意味。
今、美院は学部の入学試験期間だ。
あまりに人が多いので、学科試験で足切りしたり、地域毎に試験をしたり、とにかくスケールが違う。
昨日は試験終了に出くわした。
校門のところに試験が終わった子供を迎えに来る親がたくさんいて、ものすごく混雑していた。
中国の受験生がかわいそうなのは、前述した学科による足切りと、紙は支給されるけど、パネルは持参すべきこと、試験時間が短いことだ。そして、美術予備校みたいなものはあるけど、とにかく模写と言う教育方法をしていること。
日本と同じように石膏や静物着彩をしたりするけど、基礎を勉強するときは、参作の模写が中心になる。目の前にモチーフがあっても、参作を模写して描く。参作の模写にモチーフを参考にする感じ。
このやりかたは、はやく見た目のいい絵が描けるようになるけど、一から自分で積み上げていくことをしないので、数が揃うと、みてておもしろくない。しかし、その中から合格していくのだから、受かった人は相当な力があるのだろう。
また、時間が短く、数が多いせいか、色彩の調和やハーフトーンの美しさで見せる作品が少ない。
日本の予備校は参作を参考にすることはあっても、模写はしないし、一から自分の絵の描き方を作らせるので、最初はなかなかうまく描けないけど、半年ほど頑張れば、それなりに自分のやり方で描けるようになる。
また、 中国では日本画科が課すような、時間をかけてのアクアレルの静物着彩は人が多すぎてできないようだし、世界の美術大学でもそういう試験はあまり聞かない。
中国の静物着彩は厚塗りで、アクアレルではなくグワッシュやポスカラが主流。油絵の人も、最初はそれで色面とかの勉強をする。
中国では、とにかく大卒の学歴が大切なので、地方の美術大学では、絵は好きではないけど対策をして、学科で潜り込めるから美大を受験し、実際に入学している学生が少なくなく、問題になっていると中国の美術雑誌で読んだ。
しかし、中国美院や中央美院、そして南京や広州などの大きい大学は、絵が好きでうまくないと入れない。
その中でも、家庭教師をつけて学んできた人や、美院の付属中学(日本で言う高校)から上がってくる人は、オールマイティに一通り学んできて、こなしている作業量も多いので、すばらしい技術と教養を持っている。
経済的には、日本のように貧乏で親にも反対されて、勘当同然でボロ下宿で何浪もしているという学生は、多分いないと思う。
中国の美術系は普通の文系の二倍の学費で、中国のアルバイトの賃金では、自分で勉強しながらバイトして学費を稼ぐことは、絶望的なくらいにムリだからだ。恵まれていないと、学費は払えないし、受験に通るレベルまで積み重ねることが難しい。そして、農村と都市の差は大きく、残酷なことに、情緒や文化の面で、教育では埋められない格差があることもまた事実だ。
私が、農家にうまれて、片親でも2浪して学費免除で大学で美術を勉強できたのは、日本にうまれたからできることで、本当にありがたいことだとしか言いようが無い。