2007.11.08 05:27:39   このエントリーをはてなブックマークする このエントリーを含むはてなブックマーク
留学してからの第一印象として、日本画はPhotoshop、中国画はIllustrator。
考え方も表現方法も、目指すところも全く違う。
今、「中国伝統文化精神」っていう人文科目をとってますが、先生の言うことを自分なりに消化してみると、中国文化のコアになるものは、とにかく「人」。善かれ悪しかれ「人間」って言うものの存在が、物凄く強い。
これがイスラムやキリスト教以降の西洋文明になると、神様から人間は離れることができない。古代ギリシアの理性と智慧だって、人間のアクの強さには勝てない。
これが日本になると、「自然」と「人」との調和が重視されて、人間の存在感が薄くなる。日本人は平安の宮廷でも現代の高層ビルでもどこにいても、自然の中で生きてるけど、中国人は山奥に隠棲したって、人間の中で生きてる。
絵もそう。「人間が感じたことを人間が表現する」のが中国画。だから、山水を描いても一種のインナーワールドの表現。花鳥も何かのメタファーを含んでることが多い。だから、グロテスクに見えたり、人工的に見えたりしたって没問題。
日本画は、「自然を表現する」もの。「自然」が表現できるなら、中国の技法も西洋の技法もどんと来いで、なんでも飲み込んじゃう。「自然」といっても、花鳥風月ではなく、とにかく、人間のエゴを排して、素直に美を見つめる感じ。
日本画にとって美は創りだしたり、習うものではなく、どこからか集めたり、拾ってきたり、ふとした拍子に出会うもの、探して見つけるもの。そういうひたむきで、けなげで、ちょっぴりかなしい気さえする日本画って、やっぱりいい……。
中国画もいいものです。だって人間だもの。人の中にある佳いものや、哲学的なもの、受け継がれてきた洗練された美、高度な技法が表現された時、それはホントに素晴らしい。人間の可能性は∞だから。でも、現代中国、真逆のものが表現されてたりすることもままあります。
では、自分が中国画から、まず何を学ぶかと言えば、一にも二にもTechnic! ヒトの手の技。
平たく言えば、筆の使い方。ポイントがいっぱいあるペジエ曲線を、自在に手で引けるようにならなくてはいけません。それは精神のルート。さらには、その曲線に、自在にブラシやフィルタをかけることもできるようにならないと。のほほんとしてたビットマップの世界の人間にはきついよー。
加山又造 kayama matazou
こんなピンチの私に強い見方はこの本。すごくいい本です。アマゾンに在庫はありますが、出版社で重版未定とかになってるのが悲しい。日本画を描く人は絶対一度は読むべき。この本は私のお守りのひとつで、どこに引越してもずっと本棚のレギュラーです。
獲得した技術をらくらく乗り超え、否定し、自己の中で壊し、それを超える大きな技術を獲得することに努力すると同時に、それらを壊す大きな気力を持たねばならない。私にとっては自分の獲得した技術の価値とは、それを極めて平然と壊す、否定できるという瞬間において、その価値が非常な輝きを持つとさえ言える。
絵を本格的に習い始めた高校生のころ(予備校に通うと決めた時に、油画から日本画に変えたりした)から、この言葉はとても好きで、読み返してはいつも頷いていたのに、いままた、私の背中をおして、勇気づけてくれる。
  2007.11.09 03:25:55   このエントリーをはてなブックマークする このエントリーを含むはてなブックマーク
杭州の銘茶と言えばもちろん龍井茶(龙井茶)、でも、正直、冬に飲むにはキツイお茶です。
そんなときにオススメなのが、杭州産の紅茶、九曲红梅です。
九曲红梅は武夷山の九曲にルーツがあり、200年ほどの歴史が有る伝統的な中国紅茶です。杭州ではその茶湯の色や上品な芳香から、九曲红梅、九曲红などとよばれて、お茶通の間で親しまれ、西湖博覧会やアメリカやパナマなどの品評会で高い評価を得たこともあります。
大坞山産のものが最高級とされています。街中のお茶屋さんではあまり見かけませんが、解放路の茶叶市场では、高級品でも手軽な値段で手に入れることができます。
中国紅茶といえば、私は雲南の紅茶がすごく好きでした。ライチの香気をつけてあるものや、茶葉の力をそのまま凝縮したようなプレーンな紅茶(いわゆる雲南の紅茶と言うと滇红が有名だけど、私がよく飲んでたのは少し違う気がします)など、冬にしみじみ暖まるにはとても佳いお茶でしたが、杭州ではよいものが手に入りにくいです。紅茶は置いておくと美味しくなる部類なのに……、やはり知名度が低いといいものが入ってこないのかも。
鉄観音や烏龍茶、龍井、普洱などのビッグネームは中国のどこに行っても、割合とよいものが手に入るように思いますが、ローカルなお茶は、遠くに行くとなかなか手に入りません。それでも杭州はいろんなお茶がある方かな……
お茶が好きな人は、解放路の茶叶市场へ是非行ってみて下さい。龍井茶もたくさんのお店が互いに監視し合ってるせいか、良いものがそれほど値切らずに買えますし、粉茶も格安で買えます。花茶や工芸茶の専門店もあります。観光で来られた方には、観光エリア外かも知れませんが、市内にあるので西湖東岸からなら、タクシーで10元くらいで行けると思います。
また、杭州では、景徳鎮が近いせいか、趣味の良い可愛い茶器がたくさんあって、わりあいと安いことです。茶叶市场にもいろいろありますが、街中のこじゃれたお店に、ちょっと高いですが他では買えない面白いものがあります。
杭州の茶叶市场
上城区南班巷15号
解放路、浙一医院の向かい側。
副食品はお茶うけや小さいお菓子のこと。ナッツ類がたくさん売ってます。
西湖区转塘镇转塘新村126号
ここはまだ行った事がない。ちょっと遠いかも。
  2007.11.12 14:27:36   このエントリーをはてなブックマークする このエントリーを含むはてなブックマーク
外へ出ての写生に一区切りつけて、最近は毎日アトリエに行ってます。
ここの良いところは、アトリエが24時間使い放題!であることです。
しかも、みんな家にアトリエを持っているので、学校のアトリエに来てるのは、ひとつ先輩の女の子と、私だけで、とても静かです。先輩は、私がきてれつなことをしてると教えてくれるし、率直に意見も言ってくれます。
いまは、あまり深く考えないことにして、中国の写生というか、素描に慣れるように、毎日黙々と鉛筆を動かしてます。
驚いたことに、こっちは鉛筆も中国の紙にやります。日本みたく、洋紙にはやりません。日本も新鳥の子とかに描く時もあるけど、でも、新鳥はパルプが多くて、本画には適さない紙だから、あまり和紙とはみなされてないわけで。
こっちは本画にも書にも使えるよさげな三六の紙が、3〜10元くらいで買えます。洋紙より安くて、鉛筆の走りもいいし、消しゴムにも耐える(こっちの人はほとんど使わないけど)ので、安めで厚手の夾宣に素描や線描をしてます。
中国画の素描と、日本画の素描の姿勢は全く違いますが、それぞれに利点と難しい点があり、最終的には、中国の基本である模写や手本に倣うことで身に付けた線や形の感覚を以て、日本の理想である自然をよく観察し自分の感性で美を紙に写し取っていくことができればいいかなあー。
とにかく、ここんとこ、鳥の羽ばっかり描いてます。自分の目で見た羽を描くと、先輩に「不干净」といわれ、お手本をたくさん描いてみ、と言われたので、四の五の言わず手を動かしてます。
とにかく、アトリエに落ち着けたのはいいことだー!!!!!
  2007.11.13 03:42:01   このエントリーをはてなブックマークする このエントリーを含むはてなブックマーク
夕方、先輩達が、画絹のオーダーメイドのことを、卒業生や山水の人たちと一緒になって、うちのアトリエで話してた。話しがすんで、みんな帰った頃、ドアをノックする人がいた。先輩と私は、遅れてきた山水の人だと思って、入れてしまった。
入ってきたのは、美院とは全く関係のない昆明から来た人だった。日焼けが肌に染みついてて、普通話もおぼつかなく、いかにもあやしい。
この人は、すすけたザックに自分の描いた絵をたくさん詰めて、美院の誰かに批評してもらいに来たのだ。
技術は私よりあるけど、大切な何かが、彼には無くて、先輩が仕方なくいろいろアドバイスしてあげてたけど、その度にいい訳ばかりで、先輩のありがたい言葉を飲み込まない。そもそもその人は、西洋画系志望で、国画ではないので、国画最右翼の花鳥の人に意見を求めるのはお門違いなのだけど、なかなか帰らないで、A4の紙にカラーのボールペンで描かれた絵を、とめどなく先輩に見せていた。
その人の息も切れて、やっとお帰りいただいたところ、先輩がひと言、
「あんあに年食ってて、ただでさえ自分の考えを変えるのは難しいのに、素直に人の意見にうなずかないようでは、絵を学ぶ以前の問題だよ」
……これって、ともすれば、自分にも当てはまる可能性のある言葉で、自分は心の中で冷たい汗をかいた。その時、私は先輩の薦めに従って、鳥のお手本の本を買ってきて、なるべく難しそうなのを鉛筆で写していたけど、でも描き方は、中国のやりかたになかなかできなくて、悪戦苦闘していたのだ。
美院ではこういう風に、地方から出てきた画家志望の人が、勝手に学生のスペースに入ってきて、意見を求めることが珍しくないそうだ。だから先輩は平素から、アトリエの中にいても、ドアに鍵をかけるし、私がトイレに行って帰ってきても「誰?」と必ず聞く。
絵の道はけわしい……というか、運命って本当に残酷だ。私がもし、雲南の山の中に生まれてたら、留学生として無試験でのほほんと美院の研究生のアトリエで絵を描いてるなんて夢のまた夢で、彼のように、こ汚いカッコで、いろんな教室のドアを叩いてたかもしれない。逆に、自分の担当教授のように、高名な画家の二世に生まれてれば、純粋な英才教育をうけて、幼少のころから冷たい風に当たることなく、思う存分、才能を振るうことを楽しんで生きてこれたかも知れない……。
仏教徒や回教徒の寺院の近くに、よく「知識は運命を変える」なんて看板がわざとらしく掲げられてたりするけど、知識なんて生易しいものじゃ、こんな運命は変えられない。
生きてる情報を掴んで、お小遣いつきで留学できてる幸運に感謝。謙虚になります。
  2007.11.14 13:58:11   このエントリーをはてなブックマークする このエントリーを含むはてなブックマーク
APPLE LINKAGE : 11月13日 : 中国移動、「iPhone」の販売についてAppleと交渉中
ソース : Apple, China Mobile Discuss China IPhone
いくらになるのか?Skypeは使えるのか!?
iPhone & iPod touch Japan : ようやくSkypeがiPhoneで!「IM+ for Skype」
日本語入力は?電脳長城の規制はどこまでおよぶのか?
SIMは……たぶん、全球通だろーな……高そー。
iPhoneは2008年にアジアで発売予定だから、オリンピックにぶつけてくるのかな。
今はとりあえず、成都で使ってたSiemensのCX65を大事に使ってます。
日本との通話は、携帯にSkype Outを使って転送して、話してます。30分話しても100円くらいかな。何故かパソコンでSkypeすると、ものすごく重くて話ができません。私のMacが古いせいだけではなさそうです。美院のネットか電脳長城に原因がありそう。ルームメイトがボスニアにSkypeするのはすごくクリアーなのに、なぜ近所の日本がこんなにダメなんだろ。
ともかく、中国でのiPhoneはどうなるのでしょう。
  2007.11.14 16:04:32   このエントリーをはてなブックマークする このエントリーを含むはてなブックマーク
私は化粧を全くしない人ですが、顔を洗うのにはこだわりがあります。
中国ではカルフールなどで、手軽に買えるので、成都にいた時からNeutrogenaの洗顔料を愛用してます。いろいろ試して辿り着いたので、これがどんなメーカーなのか、よく知りません。なので、ブログの記事にして調べてみました。
日本では、ニュートロジーナと片仮名で呼ばれていて、代理店(J&J)を通して売られてます。今はアメリカに本社があるけど、ベルギー生まれの世界的に有名な化粧品だったのですね。
日本での商品展開は、中国とだいぶ違うみたいで、ものすごく高級なクリームと、日常で使う保湿クリームの両極端に分れてるみたいです。保湿系の商品は、寒さが厳しい北欧で愛用されてるのをウリにして、リップハンドクリームなどがあります。
氷点下の極寒の海の過酷な環境で働く北欧のフィッシャーマン。彼等の赤くひび割れした手肌を守るために開発されたのがノルウェーフォーミュラハンドクリーム。世界各国での支持は高く、フランスをはじめとするヨーロッパ各国では1位*。特にフランスでは家庭の救急箱に必ず入っているといわれています。
……ふーん。
中国はスキンケアの商品が多くて、露得清という漢字の名前で売られています。でも、お店では英語のロゴの方が大きいです。会社のサイトはふたつあるみたいです。
Neutrogena·皮肤专家推荐
露得清Neutrogena
中国はいきなり外資が商品を投入してるから、外国の日用品のいいものがわりと簡単に手に入ります。日本は日本のメーカーががんばってるから、外資のものは安くもないし、種類も少ない。かといって、日本製がよいかと言うと、値段ほどではない。
日本は化粧品なんか、顧客の数が少ないのに、パッケージのデザインや広告に法外なお金をかけてるから、中身はそれほどでもないのに、異常に高い。よく技術者の稼いだ分の利益が、広告等に吸い取られてることが問題になってますが、こういうこともっと考えて、日本の会社はモノを作って欲しい。パッケージも文化だけど、でもそんなに文化と言えるほど日本のはキレイかなあ……未だに悪い意味で昭和っぽく感じます。
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TAGz  
  2007.11.18 04:23:44   このエントリーをはてなブックマークする このエントリーを含むはてなブックマーク
先生に課題の写生を見てもらう。
中国の写生と日本の写生はかなりちがう。
見せる度に、みんなにも先生にも、「もっときれいにかけ」といわれる。遊びの線があったり、リアルに描いて、線が有機的になりすぎるとよくないみたい。
もっと線だけで、ぴっちりといきいきとかかないとだめみたい。
日本の写生は、遊びの線があったり、画家の試行錯誤や迷いがあっても許されるし、それがまたいい味となったりするし、それに、きまりなんてない。みんな描きたいように好きにやればよかった。そこから、それぞれのインスピレーションが生まれたりするから。
中国の写生、特に花鳥は、味なんて許されない。一発で、勢いよく、簡潔に、上品に描かないといけない。
同級生が、細いサインペンだけで三六のでかい紙に、一回も消しゴム使わないで、失敗もなく、ものすごい精密な線描を10枚も描いてきた。よくみるとかなり生物学的な嘘がはいってるし、単調だったり、硬いかもしれない。でも、この技術って何!……デッサン力が絶望的に無く、何回も消さないと目的の形に辿り着けない私(この時点で画家としての適性が危うい……)にいちばん欠けてるものだ……。
いつも二人でアトリエを使ってる先輩が言った。
「こっちは北と違って、何でも細かく描けばいいってものじゃないのよ。簡潔な線で表現するのが、南なの。文人画だったり、禅宗の影響があるのよ。あなたも文化財とか勉強してたなら、この意味わかるでしょ」
あうあうあー。
先生には、びしばし自分の写生に線をキメられ、目からうろこ。あと、先生はすごく解剖学的な構造を大切にする。とりあえず、日本から猫と動物の解剖学の本を持ってきてて良かった。
……しかし、線を引くのはむずかしい。
とりあえず、花の写真のプリントアウトを何回もなぞって、手に線をおぼえさせるようにした。
画家としてどうよ、と思われるかも知れないが、だって、崖っぷちなんだもの。書が納得いかない先輩は、となりでやっすい絹をトレペ替わり(こっちでは信じられないほど、絹の扱いは雑。木枠に張るのも稀)にして、蘭亭をうつしたりしてる。夜中にひとりでアトリエに残って、保衛に何回もチェックされつつ、ひたすら写真をなぞってみた。それからちょっと描いてみたら、わずかにマシになったかな。夜中で頭おかしくなってるせいで、朝みたら絶望かも。
あとは少しづつ書の練習してる。アトリエで精根尽き果てたら、部屋に戻ってきて、寝る前に自分も毎日すこしづつ蘭亭やってる。みんな懸腕直筆にしなくていいと言うけど、幸い、自分は筋力があるので懸腕直筆でもそんなに疲れないし、筆が自由になる気がしてこっちの方が下手は下手なりにコントロールが利く。でも、隷書しかやったことないから隷っぽい部分は分っても、楷書や行や草っぽい部分はさっぱりわからない。とりあえず、すこしまともに見えるようになったら、留学生の先生のトコへいって教えてもらおう。
……そういやHSKなんてものがあったな。全然勉強してない。こっちも崖っぷちだ。八級は临战磨枪じゃとれないよー。