留学してからの第一印象として、日本画はPhotoshop、中国画はIllustrator。
考え方も表現方法も、目指すところも全く違う。
今、「中国伝統文化精神」っていう人文科目をとってますが、先生の言うことを自分なりに消化してみると、中国文化のコアになるものは、とにかく「人」。善かれ悪しかれ「人間」って言うものの存在が、物凄く強い。
これがイスラムやキリスト教以降の西洋文明になると、神様から人間は離れることができない。古代ギリシアの理性と智慧だって、人間のアクの強さには勝てない。
これが日本になると、「自然」と「人」との調和が重視されて、人間の存在感が薄くなる。日本人は平安の宮廷でも現代の高層ビルでもどこにいても、自然の中で生きてるけど、中国人は山奥に隠棲したって、人間の中で生きてる。
絵もそう。「人間が感じたことを人間が表現する」のが中国画。だから、山水を描いても一種のインナーワールドの表現。花鳥も何かのメタファーを含んでることが多い。だから、グロテスクに見えたり、人工的に見えたりしたって没問題。
日本画は、「自然を表現する」もの。「自然」が表現できるなら、中国の技法も西洋の技法もどんと来いで、なんでも飲み込んじゃう。「自然」といっても、花鳥風月ではなく、とにかく、人間のエゴを排して、素直に美を見つめる感じ。
日本画にとって美は創りだしたり、習うものではなく、どこからか集めたり、拾ってきたり、ふとした拍子に出会うもの、探して見つけるもの。そういうひたむきで、けなげで、ちょっぴりかなしい気さえする日本画って、やっぱりいい
。
中国画もいいものです。だって人間だもの。人の中にある佳いものや、哲学的なもの、受け継がれてきた洗練された美、高度な技法が表現された時、それはホントに素晴らしい。人間の可能性は∞だから。でも、現代中国、真逆のものが表現されてたりすることもままあります。
では、自分が中国画から、まず何を学ぶかと言えば、一にも二にもTechnic! ヒトの手の技。
平たく言えば、筆の使い方。ポイントがいっぱいあるペジエ曲線を、自在に手で引けるようにならなくてはいけません。それは精神のルート。さらには、その曲線に、自在にブラシやフィルタをかけることもできるようにならないと。のほほんとしてたビットマップの世界の人間にはきついよー。
こんなピンチの私に強い見方はこの本。すごくいい本です。アマゾンに在庫はありますが、出版社で重版未定とかになってるのが悲しい。日本画を描く人は絶対一度は読むべき。この本は私のお守りのひとつで、どこに引越してもずっと本棚のレギュラーです。
獲得した技術をらくらく乗り超え、否定し、自己の中で壊し、それを超える大きな技術を獲得することに努力すると同時に、それらを壊す大きな気力を持たねばならない。私にとっては自分の獲得した技術の価値とは、それを極めて平然と壊す、否定できるという瞬間において、その価値が非常な輝きを持つとさえ言える。
絵を本格的に習い始めた高校生のころ(予備校に通うと決めた時に、油画から日本画に変えたりした)から、この言葉はとても好きで、読み返してはいつも頷いていたのに、いままた、私の背中をおして、勇気づけてくれる。