コンタの中国留学レポート
浙江の中国美術大学に留学していた男の子の留学の記録です。
他の留学生の記録と違うのは、彼のお父さんの文章があることです。お父さんの厳しくも優しい文章がとてもよいです。
自分が留学するにあたって、ずいぶん悩んだのは、家族のことです。
実家に102歳の曽祖母と、病を抱えながら農業をやっている祖父、曽祖母の世話をしながら同じく農業をしている母。父はずいぶんはやくに病気で亡くなりました。
妹は自立して一家を成し、子育て中なので、心配はしないけど申し訳なく思います。
そして、夫。
留学する意志を母に伝えた時、「おまえはおばあちゃんの死に目にはあえないね」といわれました。おばあちゃん(曽祖母)は、母子家庭で忙しい母に代って、女としての生き方を教えてくれたとても大切な人です。おばあちゃんの絵を描いて、奨学金をもらったこともありました。この今現在ですら、できればそばにいてあげたい。留学のことは、なんだか怖くて曽祖母と祖父には言っていません。
母としての私の留学に対する態度は、「馬鹿だねえ」と言ったきりです。おばあちゃんのこと以外については何も言いません。母は昔から私の人生の岐路になる選択については、非常にドライでした。何か言えばすぐ助けてくれるのですが、干渉はしません。
実家の家族を心配する私の背中を押したのが、夫でした。
「今いかなくて、どうするの?」と。精神面でも資金の面でも、私が留学するのを支えてくれようとしています。夫は家事は細かくできるし、お酒をたくさん呑む以外はあまり心配なところのない、とてもまじめな人です。
……こんなに家族に心配をかけて、支えてもらって、私は中国に行って何ができるのだろう?この先、絵を描いていて、何か報いることはできるのだろうか?
多分、中国に行っても普通に生活はできるだろうし、あまり困ることもないと思います。ただ、家族に負担をかけただけの成果が得られるのか、家族に何か起きないか、それだけが不安です。
「自分のことしか考えていない冷たい人間」という一面は否定できない。
でも、やるしかない。